残業の心理学〜サンプル数 1 〜

ブラックな会社に入ってしまい残業をいかに減らせるか日々格闘するサラリーマンの葛藤の話。

万引き家族を観て思ったことの雑記(ネタバレ前提、視聴後前提)

109シネマズが10日は1100円と言うのとしばしば話題になる「そして父になる」の監督だった事、もちろんパルム・ドール賞も動機の1つにはなっている。

ってか前の日本人監督パルム・ドール賞って「うなぎ」だったんですねぇ。近いところもあるような…。無いような…。


さてさて一部では『恥』と言い切っている人もいるらしいこのタイトル。割と確信犯的に付けたようにタイトルみえますね。


まず最初に面白かったかどうかについて…



面白かったに決まってる!!


まず全然身構えなくて良いし、難解かなと思われてら方もいらっしゃるかもしれませんが、とってもわかりやすく面白いですよ。


まず登場人物の演技はほんっっっとうにリアリティがスゴい。そのリアリティのある演技でかわすやり取りが本当にユニークでセリフもスゴく気が利いていて劇場じゃ無ければ爆笑必至です。特にリリーフランキーの飄々とした喋り方で喋るセリフもどこかズレてて面白い。安藤さくらのふとした時に見せる愛のむきだしっぽさも面白いし、おばあちゃんも…って言ってたらキリ無いくらいみんな愛おしい。


「おしゃべりな男はダメ!」

とか

「あいつ反抗期なんだよ」

とか


本格的なネタバレすると虐待していたリンちゃんの肉親との家族とリリーフランキー達の家族ってほぼほぼ生活水準に差がない。寧ろリリーフランキーの方が貧乏なのにいつも笑ってて仕事出来なくなってもイライラせずに「どうしよっかなー」(意訳)程度の構え。この2つの家族の差は面白かった。貧乏でも助け合ってなんとかしてみんなで生きていく。本当の幸せとは何なのか。


でもこの助け合いから生まれた絆があるが故に後半はしんどくなる。



しかも無視できないことは、もちろんこの家族は法に反している事だ。それは様々な法に逸脱しているし自分勝手な解釈で自己の行動を正当化している。その法の逸脱から倫理の逸脱に変わった時、それを見ていた少年は疑問を感じる。(もちろん万引きも倫理的にアウトなのは言わずもがなだが)

後半は家族ごっこのメッキが剥がれていく。やはりこの家族は何かで繋がってて何かが足りない関係なのである。松岡茉優リリーフランキー

「信代(安藤サクラ)とは体じゃなくて心で繋がっている」

と言うようなことを話す。おそらくこの家族にあって、無いもの、を端的に表している重要な会話だろう。


この映画はこの家族を賞賛もしなければ非難もしない。

ラストは可哀想ではなく寧ろハッピーエンドとも言える。


リンちゃんに対して信代が

「あの子は自分で選んだ方が強くなれる」

と言ったがあの後の最期のリンちゃんは虐げられて抑圧された時と違い、しっかりした自我があるし、自分で選べるし他の場所に絆ができた。自ら窓を覗き込む所はそれを示唆していると僕は観ている。振り返ると言う行動で祥太くんの中にも絆が生きている事は見てとれる。


捨てられるだけの存在でなく拾われた事実は心に深く刻み込まれる。


モノを捨てる人と拾う人の話にもなっている。感覚としては万引きと境界線が曖昧のまま持って帰っちゃったのだろうから治(リリーフランキー)だからこそ一時的にリンちゃんを持って帰れたのだろう。



あと、事情聴取されていた時に信代と治に説教を垂れる人物達はもちろん私たちの鏡である。潔癖で二元論で、取り繕った最もなことを並べて感情的に追い詰めているだけのようなやり取りもある。

そしてそんな彼らを責めることも出来ない。

彼らもこの家族がどんな幸せな生活をしていたかなんて知る由も無いのだ。



視聴後、ってか今でもボーっとしています。もちろん一回で全てを理解できる作品でこんなに面白い訳は無いのでこの作品は折を見て何度も見返し、気付き価値観を揺さぶら続けるでしょう。

話は多面的な面を持っていて更に多層に作られています。


また視聴を重ねて新しい発見があったり見方が変わったりしたら追記しようと思います。